情緒たっぷりの「湯田川温泉」、左は重厚な立寄り湯・「正面湯」
日本海に面する明るい「湯野浜温泉」
周遊紀行:温泉と観光(3) 「湯田川と湯野浜温泉」
湯田川温泉
山形県の日本海側にある庄内地方の温泉郷には、温海温泉、湯野浜温泉、湯田川温泉が古くから知られている。
海岸沿道の国道7号線を北上すると、やがて鶴岡方面への内陸へ向かう、その市街地手前に「湯田川温泉」がある。
大型温泉ホテルが並ぶ温海温泉、湯野浜温泉とは違い、鶴岡南部・金峰山の麓にある湯治場として栄えた温泉郷で、いかにも鄙びた温泉街である。
湯田川温泉は、開湯1300年という伝統の中で、鶴岡の奥座敷として地元民に親しまれ、庄内藩政の時代には、藩主や美人の湯としてお姫様がお忍びで温泉を楽しんだという。
道を挟んで肩を寄せ合うようにして並ぶ黒塀の宿や白壁の宿は、多くの文人からも愛されている。
地元が生んだ歴史小説作家「藤沢周平」を始め、種田山頭火、竹久夢二、柳田国男、横光利一など、鄙びた情緒ある宿に逗留して構想を練り、執筆を重ねた足跡が残されている。
湯田川温泉は古く、奈良期の和銅五年(712年)に発見され、出羽三山の修行の終点で「精進落しの地」であったという記録も残る。
ここは昔から「鶴岡の奥座敷」と呼ばれ、竹林と梅林に囲まれた10数件の旅館が建ち並ぶ静かな温泉で、鶴岡の市内からも近く、一般客や湯治客が訪れる名湯である。
共同場は、「正面湯」(何故か温海温泉にも同名の湯がある)、「田の湯」などが在り、近年、足湯の「しらさぎの湯」ができた。
もとより、加水・加温・循環を全くしていない極めて純粋な「天然かけ流し」温泉で、環境省より「国民保養温泉地」にも指定されている。
湯田川温泉の泉質は、Na・Ca-硫酸塩泉、効能は脳神経病、眼病、婦人病、便泌、痛風に効能ありといわれる。
鶴岡の町から、そのまま海岸へ出ると「湯野浜温泉」である。
湯野浜温泉は小生の思い出の地である、些か私事で蛇足になるが、今から10年ぐらい前に山形県下の主要地を訪ねた事があった。
生母が山形出身で、半世紀以上経っての挨拶訪問が主目的であったが、小生も山形県人としての血が半分(父はお隣の福島県)混じっているのである。
生母は、鶴岡から南下した最上川の上流域、朝日連峰の東山麓の朝日町の出身である。
当時、終戦直後の混乱の時期、父が病死した母の位牌をもって訪ねたのを幼少ながら記憶に残っていた。
山形駅から左沢(あてらざわ)線に乗り、バスに乗り換え、更に、バス停より徒歩で1時間もの山峡僻地が母の実家であり、当時は盛んにお蚕さん(養蚕)を生業としていたようである。
その時訊ねたのが出羽三山、鶴岡、湯野浜温泉であった。
鶴岡市にある湯野浜温泉は日本海に面し、波の音と松風の聞こえる海浜の温泉郷として有名で、海岸に沿って大型のホテルが並んでいる。
客室から眺める日本海への沈む夕日は格別である。われ等夫婦が当時宿泊したのは、温泉街の中央部で浜辺に位置する「ホテル福住」と記憶している。
湯野浜温泉は、平安期の11世紀初頭、付近の漁夫が海辺で大亀が砂浜で温浴しているのを見て、温泉を発見した故事に由来し、元の名は「亀の湯」と称されていた。
現に、湯野浜温泉には「亀屋」という明治初期創業の老舗旅館があり、和風庭園を配した建物は一見竜宮城を思わせるという。
東山温泉(福島・会津)、上の山温泉(山形)と並び奥羽三楽郷の一つとされ、古くから海辺の歓楽温泉地として栄えている。
克って、大正年間から1975年頃までは私鉄の庄内交通湯野浜線が、湯野浜の中心地と鶴岡駅を結んでいた。
その湯野浜駅があった場所の中央ロータリー広場、公民館一階に足湯広場を持つ共同場・下区共同浴場が在り、他に上区共同浴場ある。
海辺の露天風呂に浸かり、日本海の黄赤に染まる夕日を眺めつつ、新鮮な魚介類を舌づつむ味は格別である。
夏場は海水浴客でも賑わい、四季を通じて老若男女全てに楽しめるトップランクの温泉地である。共同浴場の泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉、56.1℃、pH8.4(弱アルカリ泉で湯野浜各種源泉の混合泉)。
次回は、秋田・男鹿「湖と温泉」
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