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日本周遊紀行(33)伊勢神宮 「おはらい町」
「おはらい町」通り商店街。 名物・「赤福」も見える
門前町の「おはらい町」は、「おかげ横町」とも言う。
松阪市より本日の主たる目的地「伊勢市」へ到った。
「伊勢神宮」を参拝するにあたって、路順としては通常は外宮より周辺別宮を参り内宮へ達するのが本来らしいが、小生、道程の都合上内宮より参拝することにした。
伊勢西I・Cを下りて、案内板に示されるとおりに進む、左手には立派な猿田彦神社が鎮座していた。
道案内(道祖神)の「猿田彦」
猿田彦神社は、名前のとおりの祭神・猿田彦大神(サルタヒコノオオミカミ)を祀る社で、垂仁天皇の御代、倭姫命(ヤマトヒメノミコト)が天照大神の別天鎮座の地を求められた時、道案内をして五十鈴川の川上に導かれたという。
元は、天孫降臨の際、邇邇芸命(ニニギノミコト)を高千穂に道案内をしたとされ、そのことから道の神、旅人の神とされるようになり道祖神と同一視されている。
この為に神社は古来より善導の神として開運招福、家内安全、交通安全の守護神として信仰され、魂を導き甦(よみがえ)らせるという神威により「甦りの神」とも称され、別名「興玉の神」とも称えられている。
又、古来より、土地を領する地主神(じしゅのかみ)と云われ、土地の邪悪を祓い清め災厄を除く「福寿の神」として信仰されている。
天照大神(皇大神宮)を導き、安心の地を示した猿田彦は、この地に天照大神を見守りながら鎮座している。
ところで伊勢市は、伊勢神宮の門前町として有紀以来から知られ、特に江戸時代からは大いに発展する。
特に「皇紀2600年」(日本の紀元を、日本書紀に記す神武天皇即位の年:紀元前660年を元年として1872年:明治5年に定めたもの)にあたる1940年(昭和15年)には、皇紀記念を祝って約800万人が参宮のために訪れたという(当時の市名は宇治山田市)。
現在も年間約600万人程度の参拝、観光客が訪れている。
門前、おはらい町
神宮を参拝するにあたり、浦田町の信号辺りからは「おはらい町」、「おかげ横町」といった神宮参道の門前町が五十鈴川沿いに約800m続き、お土産や飲食店が軒を連ねているのも楽しみの一つであろう。
江戸期の「おかげ参り」が盛んな頃は、宇治橋を越え神域にまで家並みが続いていたという。
その昔、「おはらい町」の名は、御師(おんし)たちがこの地にあった自分の邸に参宮客を泊め、おはらい(お札)を授けて手厚くもてなしたことから付いた名という。
現在とは、やや異なった趣も感じられたようである。
御師とは全国をめぐって神宮のPRにつとめた神職のことで、爆発的な参宮ブーム(おかげ参り)は御師の存在ぬきでは語れないという。
今はもう邸は殆ど姿を消しているが「御師の門」が町内に残されている。
電柱が取り除かれた道路には石畳が埋め込まれ、町並みは伝統的な町家に混じり、昔の姿に再現されつつ店屋などが品よく続いている。
特に建物は、昔ながらの妻入り様式(屋根組みの妻の正面を出入り口とする建築様式、関宿でも記したが当時の税金対策と、なにより神宮正殿が平入り様式〈棟と直角方向〉である為、遠慮したものといえる)の商家がズラリ並んでいる。
土産物店、食事処はもちろん銀行も堂々たるの妻入り様式で造作されている。
おはらい町の中央部、伊勢の老舗名物「赤福本店」、「五十鈴茶屋」の正面奥、文字通り横丁にあたる約3000坪の敷地につくられた「おかげ横丁」なるものが平成5年に誕生した。
この横丁は、江戸時代のおかげ参りの華やぎを演出したといわれるミニタウンで、建物はいずれも由緒ある建築を細部にまでこだわって再現したものという。
各商店は伊勢志摩の名産、名品がずらりと並び、見て歩くだけでも心うきたつ楽しさ、華やかさだ・・!!。
その「 おかげ参り」について
『 伊勢に行きたい、伊勢路が見たい、せめて一生に 一度でも 』
と道中・伊勢音頭にうたわれたように、江戸時代、お伊勢参りは庶民の夢でもあった。
昔は伊勢への熱き思いはおかげ参り、抜け参りといった熱狂的行動として現れる。
特に江戸期における慶安3年(1650)、宝永2年(1705)、明和8年(1771)、文政13年(1830)、慶応3年(1867)には全盛期を迎え、「おかげ参り」と称する熱狂的な伊勢集団詣でが往来し、多い時には半年間で約458万人の参宮者があったと記録に残っている。
当然ながら地元・伊勢の人々は、「おかげさまの心」で、お伊勢参りの多くの人々を迎えた。
それは平成の時代になっても、伊勢人情と参拝往来の人々は変わらない。
次回は、伊勢神宮の「参道」
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