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日本周遊紀行(97)田老 「三陸地方と津波」
リアス海岸と津波・・、
昨夕は、小本温泉の「黄金八大龍王の湯」という仰々しい名前の冷泉で身を清めた後、田老町までやってきてマイカー泊まりとなった。
尚、小本温泉については、この後「温泉と観光」の項で述べています。
夜半よりバタバタと車を叩く雨の音が気になった。 山間の「道の駅・たろう」は小雨模様で、やや冷んやりとしていた。 先ず熱いコーヒーを口にして、眠気を取り払う。
三陸の田老町は、リアス式海岸の湾の奥に位置し、幾度も津波の被害を受けているため、総延長数kmにも及ぶ高さ10mの防潮堤を建設するなど、津波に対して強い街づくりを進めているという。
この辺りの地へ来たら、やはり三陸特有の様子を記さねばなるまい。
田老町を過ぎて宮古市あたりから、宮城県の松島の海岸線に至る地域は独特の地形をしている。
一般に「リアス海岸」と呼ばれ、海岸線の入り組んだ「溺れ谷」といわれる地形が連続している。
溺れ谷というのは、陸上の谷が、海面の上昇や地盤の沈降で海面下に沈んでできた湾のことで、最終氷期から後氷期に入った1万年から5千年前までの海面上昇で世界中の海岸にできたという。
大きな川の河口近くなどでは砂泥に埋められて平野となったが、砂泥の供給の少ない所(愛媛県南部・若狭湾・三浦半島南部・三陸海岸など)には今も残 っている。
「リアス」というのは、スペインのリアス地方で見られることから命名されたスペイン語で、リア (ria) は入り江を意味する。
リアス海岸は複雑な地形、特異な様相をしているため、断崖絶壁、大小の鋭い奇岩、渦巻く波飛沫など、見るべきところが多く、景観地を形成している。
特に、この先の大船渡湾に突出した末崎半島の碁石海岸やその南の唐桑半島は秀美な風景を呈していると。
又、複雑に入り組んだ入り江は風の影響が少なく波も立たない、従って、三陸海岸は筏(いかだ)による養殖漁業が盛んで、カキやホヤとホタテガイなどが生産されているという。
波の無い、鏡のような静かな海面に、筏が浮かぶ様子は一服の風情でもある。
三陸地方の津波について・・、
ところで、三陸海岸のリアス海岸では入り江は湾口に較べて奥の方が狭くなっており、更に、浅くなっている。
この様な地形は津波が襲来した場合、波高が通常よりも高くなって被害が大きくなる、そのため、高波を防ぐための高い防潮堤を設けている所が多い。
この田老町も津波との闘いの歴史だという。
なかでも慶長16年及び明治29年、昭和8年の3回は再起不能といわれるほどの壊滅的被害を受けている。そんな中 、昨年、2003年「津波防災の町」を宣言している。
現在では市街地を世界最大級の高さ10メートル、総延長2.4kmの防潮堤が街を囲み災害に備えてある。 コンクリートの壁は、軒を連ねる住宅を見守るように延々と町を横断している。 防潮堤建設と同時に、区画整理も行はれ災害に強い、安全な町ずくりが進められたという。
尚、このコンクリートの壁は、すばらしい自然景観を損なうとして、防潮堤には大壁画を施してあるとか。
『三陸地方の主な津波被害』
年代 地震 死者不明 流出家屋 最大波高
慶長16年 松島沖 1800人 多数 不祥
明治29年 三陸沖 22000人 6880人 24m
昭和 8年 三陸沖 2700人 5435 15m
昭和35年 チリ地震 61人 1500 6m
「明治29年、三陸地震津波」での地域の津波高さは、三陸綾里湾奥:33.8m(本州最大)、吉浜村:24m、綾里村白浜:22m、宮古市重茂村姉吉:18.9m、田老町:14.5m、北海道襟裳岬:4mなどであり、因みに、ハワイは2.4~9,1mであったという。
この項も書き終わって暫くして、破天荒なニュースが飛び込んできた。 あまりの衝撃的な「地変」なので、ここに記憶としてと止めておきたい。
史上最悪の津波災害は、死者30万人を超えるとも・・!!!
2004年12月26日(日)午前8時(日本時間26日午前10時)、 インドネシア西部、スマトラ島沖でマグニチュード9.0という史上最大規模の巨大地震が発生した。この地震により高さ10m以上もの津波が発生、インドネシア・アチェ州、スリランカ、インド、タイ、マレーシアなどインド洋沿岸諸国でこれまでに30万人を超える死者と150万人の避難者を出す最悪の津波大災害となった。
次回は、「宮古」
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