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世界遺産・知床(17) 羅臼「羅臼八景」
望郷台から望む羅臼市街、根室海峡と国後島
羅臼町は、知床半島の脊梁山脈にあたる知床連山が町境で、隣接する斜里町と二分されている。
目の前に広がる根室海峡の向こうには、北方領土の国後島が、羅臼町とほぼ平行に対峙しているて、近い所で25㎞しか離れていない。
知床連山に源を発した多くの河川が海に流れ込み、主に羅臼川河口部を中心に中心市街、集落があって、街の正面に当たる海岸線は、大半が「羅臼港」が占める。港の大きさが示すとおり、漁業従事世帯が総世帯の3分の1を占める漁業の町であり、「魚の城下町」とも呼ばれている。 羅臼の海産物はスケソウダラ、昆布、鮭、イカ、ウニなどが獲れ・・、特に羅臼コンブは有名。
「日本最後の秘境」、「原生の自然」などと謳われる「知床」だが、羅臼は、岬まで海岸線には30軒ほどの番屋が並び、夏の間はコンブ漁の漁師が番屋で暮らすという。 そもそも羅臼側は、人跡未踏というような場所ではなく、岬の先端部、その先の海までもが地元の人々にとっては生活圏といえる。
又、知床半島を斜里町と二分する羅臼町であるが、「ウトロ」と並んで知床半島観光の拠点となる町でもある。特に、先に紹介した露天風呂「熊の湯」や海峡に面し波打ち際に湧き出る「セセキ温泉」(満潮時には水没するという温泉)、相泊温泉(あいどまり:羅臼より15kmほど、海岸線の際にあり、砂利を掘って木枠で囲った湯船が設置されている)などユニークな温泉も多い。
又、『知床旅情』の唄の発祥地、人気ドラマ「北の国から 2002遺言」のロケ地などの人気のスポットでもあり、国内最大のヒカリゴケの群生地など、こちらも斜里町ウトロ側と並んで数多くの見所がある。
羅臼も、「世界自然遺産・知床」に代表される世界有数の自然に囲まれた町である・・、
或る漁業関係者は『世界遺産になったから素晴らしいとか、いいとかいう話じゃないんだよね。むしろ世界遺産になったからこそ、もう少しきちんとしなくちゃいけない、そう思ってやってるんだ』・・と
世界遺産である羅臼町(町域は含まない)は、知床観光もさることながら人々が暮らす漁業との二本柱の町なのである。
ここで、観光協会が推薦する「羅臼八景」を紹介しよう。
羅臼八景1【しおかぜ公園】
森繁久弥の像が立つ、見晴らしの良い公園
羅臼漁港を一望でき、まさに「潮風」を頬で感じる好立地!!オホーツク老人の像の横には森繁久弥がロケに協力した羅臼町民に感謝を込めて贈った歌「知床旅情」の歌詞が自筆で彫られている。
戸川幸夫小説「オホーツク老人」の碑が建ち、これを原作とした名作映画「地の涯てに生きるもの」の撮影から森繁久弥の『知床旅情』が生まれた。
羅臼八景2 【マッカウス洞窟(ひかりごけ)】
市街地から1.5km知床半島よりにある洞窟で、内部には幻想的な光を放つ「ひかりごけ」が自生している。ヒカリゴケは糸状に伸びた茎の部分にレンズ状の細胞が並んでおり、コレが光を反射して美しいエメラルド色に輝く。 自生規模が国内最大・・!
松浦武四郎が知床探検のとき一夜をここで過ごしたといわれる。
夏は日が差してる時間が見ごろで、冬はヒカリゴケに代わって氷の柱「氷筍」が見られる。北海道指定天然記念物の1つ。
見頃、5月~10月・・、12月~4月は氷筍が見られる
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羅臼八景3 【間欠泉】
市街地から知床峠方面へ約3km羅臼側支流「発電所川」の右岸川床に位置する・・、昭和36年ボーリング作業中に噴湯したという。
間歇泉は比較的寿命が短く、全国でも数が少ないというが、こちらの間欠泉は1時間ごとに噴出すという・・!、高さは6m・・!、見頃は 5月~12月 。
北海道指定天然記念物の1つ。
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羅臼八景4 【クジラの見える丘公園】
道道87号線沿線、「ざいもく岩トンネル」上の羅臼灯台の隣に位置する。
「丘」から体長17mにも及ぶマッコウクジラの噴気やオッポを観察できるのは、日本でもココ羅臼だけという。 25km先には北方領土・国後島を・・、眼下には定置漁業のたて網が見られる。
展望台まで1車線の舗装路があるが、冬期間除雪されないので注意を要する。
スノーシューなどのトレッキングコースでもあり、双眼鏡は必携(7倍から10倍)とのこと。 概ね14時~日没30分前くらいが観察しやすいという。
羅臼八景5 【羅臼岳】
羅臼湖・三の沼と「羅臼岳」
知床半島の何処からでも見える主峰の羅臼岳は、日本百名山の一つで標高1660m、市街地からも一番目にする代表的な山である。
特に、「羅臼湖」から見る羅臼岳も絶景ポイントである・・!。(羅臼湖は下部特別編にて紹介)
羅臼八景6 【知床峠】
先にも紹介したが改めて・・、日本一開通期間が短い国道(11月上旬~4月下旬閉鎖)斜里町ウトロと羅臼を結ぶ知床横断道路の頂上。標高約740mの峠。 目前にそびえる羅臼岳の山容が美しく、根室海峡を越えて国後島が遠望できる。 全長約25km、羅臼市街から知床峠まで約15km。
知床峠~斜里町ウトロ側はゆるやかな傾斜で真っ直ぐに伸びる道路だが、知床峠~羅臼町は傾斜も厳しく、カーブも多いが、カーブ毎に現れる絶景(国後島や羅臼岳など)が見事である・・!!
羅臼八景7 【北の国から・・、ロケ地】
『北の国から・・・純の番屋』
北の国からのTVロケとして使われた「純の番屋」が、観光協会・町の有志・ボランティアの人たちによって、市街地に復元された。
フジテレビのドラマ「北の国から」シリーズの最終話となった「北の国から2002遺言」。羅臼は富良野と並ぶ主要な舞台となった。根強いファンが今尚、この羅臼を訪れている。
「北の国から2002遺言」のロケは、2001年9月に開始され翌年2月まで、数回に分けて行われた。
「道の駅・知床らうす」の2階展望室では、ロケの風景やパネル展を設置している。あの名曲のBGMを聴きながらゆっくり鑑賞したい。また、倉本聡がプロデュースした富良野と羅臼を結ぶ「北の国からパスポート」があり、ロケマップとパスポートを持って、ロケ地を巡り記念スタンプを集めるのも楽しい。
羅臼八景8 【北方領土・国後島】
「北方領土」とは国後島、択捉島、色丹島、歯舞諸島(多楽島、志発島、勇留島、秋勇留島、水晶島貝殻島)のことで、羅臼からは国後島のみが望める。 全長120km
海岸線からよく見えるのは羅臼から近いトマリ山(泊山)付近。知床峠や羅臼の望郷台、羅臼岳山頂からは遠くに白い雪をかぶった爺々岳(チャチャ岳)を見ることができる。羅臼から国後島まで最も近いところでわずか25kmしか離れていない。因みに、国道335合を北上すると、別海(べつかい)標津(しべつ)あたりでは見える方角から小さな島にしか見えないが、羅臼に入るとその全貌を現し始める。
あの島になぜ立ち入ることができないのか。あの島が誰のものなのか。「北方領土問題」を羅臼町で考えてみたい。
尚、国後島など「北方領土」に関する歴史は「次回」をどうぞ。
(日本周遊紀行(60) 羅臼・「北方領土・国後島」)
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羅臼八景・特別編 【羅臼湖】
深い原生林に囲まれた神秘的な湖であり、周囲約6㌔は知床半島では最も大きな湖・・、幻の湖として知られる。 周辺には大小5つの沼があり、高山植物などを見る事が出来る。 特に羅臼湖に向かう途中にある「三の沼」では湖面に映る羅臼岳の山容は絶景である。
横断道路・知床峠の近くにある湖で、1時間あまりハイマツ帯の中を歩くと現れる。 一般観光客は入らず、トレッキングコースとしては最適であろう。
「羅臼湖」はごく最近まで人跡未踏の地で、昭和34年に朝日新聞の記者だった本多勝一氏によって世に紹介された。 昭和37年に羅臼側からの登山道が付けられたが、横断道路が開通する前までは年間数百人しか歩かない、まさに秘境中の秘境であった。
因みに、市町村道・ウトロ羅臼線が開通したのは昭和38年頃である。 翌年の昭和39年知床半島が国立公園に指定され、1980(昭和55年)国道・知床横断道路が開通している。
世界遺産・「知床」編、 『終』
次回は、本編から「北方領土」
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