日本周遊紀行;温泉と観光(23) 「風連湖と春国岱」
写真:白鳥の湖:風連湖、向こう岸を春国岱(しゅんこくたい)と称している
国道243の厚床(あっとこ)からは国道44になり、後は根室半島を目指す。
間もなく「道の駅・すわん44」(白鳥台センターともいう)に着いた。
施設の館内へ入ると正面突き当りには、総ガラス張りの展望窓が有り、風連湖とその周辺を一望することが出来る。 親切、丁寧な造りで、酷寒の日には有難く最適であろう。
また外部展望地には「根室10景 白鳥の風連湖」と木板が掲げてある。
見渡すと寂々とした湖面で、何となく荒涼とした風景にも感じられ、あたかも深山の湖を思わせる趣きがある。
よくよく見ると沿岸地周囲は、湿原と草原と森林が混成している様子が判る。
「風連湖」は根室半島の付け根に位置し、大雑把には南部域と北部域とに分かれ、南部域が砂州によって根室湾に通じている、所謂、汽水湖である。
汽水湖としてはサロマ湖、能取湖に次いで北海道第三位であるが、周囲の長さにおいては汽水湖としては全道一であるという。
そしてこの風連湖の特質は、自然の生成進化の過程が良く現れているようで、それが一目で判るのである。
先ず、手前から右方にかけては浅瀬・干潟が大きく広がっている。
そして河川の堆積物は浅瀬・干潟をやがて湿原にし、草原となり、森林に変化してゆくのであろう・・?、 その状況、現在進行形が目で確かめられるのである。
風連湖は、この三様が絡み合って、凡そ300種の野鳥が観ることができるという。
10月上旬にはオオハクチョウが飛来し、まさに文字通りの白鳥の湖となり実に壮観らしい、実は、丹頂の営巣地としては釧路湿原を抜いて道内(国内)最大とのこと。
また風連湖では干潮時、「泥の上を叩いて貝の場所を探って採る」、というような一風変わった漁が行なわれているらしいが果たして・・?。
風連湖へ連なる春国岱(資料提供)
南部域の風連湖は根室湾に通じているが、その殆どの部分が砂洲でもって遮られている、この砂洲の部分を「春国岱」(しゅんくにたい)と称している。
湖から海洋にに向かって三列の砂丘からできていて、長さは8㎞、最大幅は1.3㎞あり、こちらも風連湖沿岸同様、海岸砂地、干潟、湿原、草原、森林など多様な自然と、砂丘の形成年代による植生の違いなどを見ることができる。
三列の砂丘のうち、湖に面した「第三砂丘」といわれるのが最も古い砂丘で3000年前頃にできたといわれアカマツ、ドドマツ、ミズナラ、ダケカンバなどの原始林の巨木が生い茂り、地上は苔むした森の様相を見せている。
特に、この森林帯は海に浮かぶ森のようだとも言われる所以である。 中程の「第二砂丘」は、二番目に古い砂丘列で2000年~2500年前にできたとされ、世界でも珍しい砂丘上に形成されたアカエゾマツの純林帯の森林が発達している。
この現象は大変珍しく、国内でも唯一の植生といわれる。
又、海に面した「第一砂丘」は春国岱の中では最も新しい砂丘列で、1000年~1500年前にできたとされ、森林ではなく草原が主体で、長さ3kmにおよぶハマナスの群生が見られるという。
これら砂洲三相の「春国岱」の自然には、タンチョウ、大ハクチョウ、アカゲラ、クマゲラ、シジュウカラ、ハシブトカラ(ハシブトカラスではない・・!、シジュウカラに似た野鳥)、オオワシ、ルリビタキ・・・などなど狭い地域ながら植生に応じた野鳥が生息する楽園なのである。
風蓮湖・春国岱に飛来する渡り鳥は約260種確認されており、世界有数の渡り鳥の中継地点となっている。
このように「春国岱」は、地質の生成過程や植物の植生過程が羅列的に見られるところから「奇跡の丘」といわれ、学術的にも貴重な自然といわれる。
釧路湿原が「ラムサール条約」の指定地域となり、最近では国立公園となった事はご存知だが当初は、この風蓮湖・春国岱がラムサール条約指定地の第一候補だったらしい。
釧路湿原へ一歩先を譲った「風蓮湖・春国岱」であるが、2005年11月8日世界的に重要な湿地であるとして、ラムサール条約に登録されたようである。
国道44は温根沼大橋を渡る、温根沼(おんねとう)と根室湾の丁度付け根に当たる。
この大橋からの風景も実にいい。
思わずカメラを向けるが、あまりに視界が広くてフアインダーに入らない、気に入る写真は難しそうだ。
風蓮湖と並ぶ根室を代表する湖沼で、鬱蒼と茂るエゾマツの森に囲まれた周囲15km、の汽水湖が、根室湾につながっている。
干潮時には沖合いまで砂州となり、アサリやホッキ貝などの潮干狩りで賑わう風景は、温根沼の風物詩にもなっているという。
次回は「釧路湿原」
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