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日本周遊紀行(73)大樹 「大気町・・?」
大樹町は大気の町であった・・!、
その大樹町の中心部を東西に貫流しながら太平洋に注ぐ延長60数キロの「歴舟川」の清流が流れる。
「清流日本一」といわれるこの川は水質測定では1987年から3年連続と91、93、2000年に「日本一きれいな川」と環境省がお墨付きを与えた。
国土交通省より「水の郷百選」にも選ばれ、ニジマスやヤマベなど川魚が豊富であり又、「カムイコタン」をはじめとする中流域には「十勝八景」といわれる大自然の優景が見られるという。
又、この川は「宝の川」とも言われ、周辺では砂金を採取していた記録があり、明治中期ごろが砂金採取の黄金期を向えて一獲千金を目指した人が大挙して訪れたという。
この歴舟川の河口の北方、浜大樹を挟んで巨大な公園が在る。
太平洋に面し「大樹町多目的航空公園」といい、全国的にも珍しい航空専門の公園である。 グライダーなどのスカイスポーツなどを楽しむ場としても利用してきたが、現在は主に航空宇宙の研究実験が優先的に行われているという。
国が進める一大プロジェクトとしてJAXA(宇宙航空研究開発機構)やNICT(情報通信研究機構)といった国の研究機関が主唱する「成層圏プラットフォーム」と銘打って、通信放送や地球観測、災害監視などに関わる数々の実験・研究を実施しているという。
このプロジェクトは高度約20キロの成層圏に全長250メートルの飛行船十数機を浮かべ、「定点滞空飛行試験」と称して様々な実験を行っているのである。
実験の主な目的は・・、
1、 新しい通信・放送: :デジタル放送、携帯端末、超高速インターネット、移動通信などの先端技術。
2、 地球観測: :海洋、大気などの現象観測。
3、 気象情報のキャッチ、災害監視: :詳細気象観測、山火事、赤潮等の監視
4、 高層における大型飛行船の研究: :特に、この飛行船は地上近辺で運航する現有の飛行船とは異なり、成層圏の高度において実験研究するもので高高度、気象環境ともに技術的に難しい問題が多くある。 それは成層圏は低温、地上より強い紫外線、風力、風速といった環境であり、それにに耐えうる軽量な材料、十分な浮力と滞空能力などを必要とすること。 又、長期間の飛行に必要な昼夜の推進の動力源である太陽エネルギーを使った太陽電池や燃料電池などの効率のよい電源の問題。 それに、長期の運行に必要な浮力ガスであるヘリウムの漏れを最小にすること、等々の研究であるという。。
これらはいずれも世界で初の実験・研究といわれる。
十勝の野は平坦地で日照率が高く一定方向に吹く風など、比較的気候条件には恵まれ安定しているといわれる。又、この公園は太平洋に隣接していて、元々そこに広大な「多目的公園」を保有していた。 これ等の理由で国策としての実験場に選定されたという。
大樹町多目的航空公園では、その他にも航空に関する未来を見据えての「宇宙間の航空機」や「無人航空機」の実験研究やパイロットテスト等、各種航空に関する研究も同時に行っているという。
太平洋に面しているため船舶からも、「あの巨大な物体は何だ・・!!」と遥かに空飛ぶ飛行船に驚いた漁業者もいたとか。
大樹町は航空の町であり、大樹町は大気町でもあった。
次回は「襟裳岬」
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