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日本周遊紀行(6)伊東 「東伊豆」
「伊東温泉」
熱海のはずれにある網代温泉からは海岸近くでもかなり高所を走るようになる。
屈曲した道をしばらく行き最高所から一気に下った処は宇佐美の海岸である。
湾曲した砂浜の海辺は透明度も良く、夏は海水浴客で賑わう、民宿の町といってイイほど民宿が多く、我が家も子供が幼少の頃、毎年ここにはお世話になるところである。
ここは、すでに伊東市であった。
東海岸のR135沿いは大温泉タウンが並ぶ、湯河原、熱海、そして伊東温泉だ。
温泉街は熱海にも劣らぬ程のホテルや旅館が並ぶ、温泉は源泉の数が780本、毎分の湧出量は34,000Lもあり熱海より多い。
又、飲食店も多く昔の歓楽街的温泉の要素も多く現存する。
ところで熟年の方なら存知よりも多いと思うが、あの古賀メロデーの元祖ともいえる「湯の町エレジー」はここ伊東を舞台に生まれたともいう。
あのギターの奏でる前奏、間奏のメロデーは、なんとも湯の街の哀愁にピッタリの曲で、小生、若かりし頃ギターをカジッタ時に最初に覚えた曲でもあった。
『湯の町エレジー』 詞 野村俊夫 曲 古賀政男 唄 近江俊郎
伊豆の山々 月あわく 淡い湯の香も 路地裏も
灯りにむせぶ 湯のけむり 君住む故に なつかしや
あああ 初恋の あああ 忘られぬ
君をたずねて 今宵また 夢を慕いて 散る泪
ギターつまびく 旅の鳥 今宵ギターも 咽(むせ)びなく
「東伊豆温泉郷」
また伊東はもう一つの顔がある。
南部は概ね丘陵地帯になっていて、大室山の麓にある伊豆高原や一碧湖周辺は四季を通じて一大レジャー基地になっている。
城ヶ崎海岸は大室山の大噴火で溶岩が海に落ち込んだ際に形成されたリアス海岸で、断崖絶壁は見る者を圧倒する景観だ。
特に門脇崎の吊橋から、絶壁に白く飛沫を上げる波濤を見下ろすときは冷や汗ものだ。
伊豆高原から赤沢温泉、北川温泉を経て熱川温泉へ・・、
この辺りは天城山系の最高峰、百名山でもある「天城山」(1406m)がいきなり海岸へ落ち込んでいるところで、そのためR135も細々と通っている。
かなりの高所の国道沿いに標識があり、細い急な路地を下ると、まもなく海岸沿いに熱川の細長い温泉街があった。
熱川温泉・「高磯の湯」
処々のホテルには温泉の掘削井戸があって、そこからモウモウと噴気煙が上がっていて、源泉温度はほぼ100℃に達しているという高温泉である。
温泉街の外れに目的の波打ち際の「高磯の湯」があった。季節的に水を抜かれた青いプールの脇を通って露天風呂へ、ライダー連が数人いて些か騒々しいが、やはり露天風呂はいい。
湯は真透明でごくわずかに細かい白っぽい湯の花があるようだ。
海岸なのでやや塩味がする。
しかし周囲は野生味が感じられないのは残念、コンクリートの床で海際は鉄柵で囲ってあるので、湯に浸かると紺碧の海原は見えない。
人工物が自然を邪魔しているのだ、早々に退散した。
ついでに熱川温泉は大田道潅が発見したといわれるが・・、
「天城トンネル」
稲取温泉から河津浜へ・・、
ここは伊豆半島中央を貫く幹線路R136、R414、修善寺、湯ヶ島、湯ケ野の合流点になる、通称中伊豆とも称している。こちらも趣のある温泉地や自然が多い、なかでも何かと有名な天城峠は御存知だと思う・・が、川端康成の「伊豆の踊子」は天城峠つまり旧天城トンネルが舞台になている。
明治38年に完成したトンネルは全長445メートル、アーチ・側面などすべて切り石で建造され、石造道路トンネルとしては日本に現存する最長のものであるとか。
有形文化財に登録され、2001年には道路トンネルとしては初めて国の重要文化財に指定されている。 また、「日本の道百選」にも選ばれている。
今は静寂を保つこのトンネルは歴史的にも、文学的にも観光の名所になっている。
トンネルの手前には旧峠道が延びている。
トンネルができる前の往時の路は、急峻な地形や切り立った崖の上で、そのため天城越えで尊い命を落とした人もいたという。
幕末アメリカ領事館の初代総領事ハリスが通商条約締結のため, 下田より江戸に上ったときに通ったのがこの峠である。
そのときのハリス一行の日記には・・,
『 路は狭く, 鋭角で馬の蹄を置く場所もなく、ようやく峠を越えて湯ヶ島に着く。 今日の路は道路ではなく通路とも言うべきものだ 』
と記されていることから, 相当な難所であったことが判る。
旧天城トンネル、更に新天城トンネルの完成で北伊豆と南伊豆の距離は一挙に短縮された。
次回、伊豆南端の「下田」は、「黒船祭り」の真っ最中であった。
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