2010年6月18日金曜日

日本周遊紀行(111)いわき 「勿来の関」

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 日本周遊紀行(111)いわき 「勿来の関」 



勿来の関と源義家(八幡太郎義家)の像


いわき湯本から旧国道(6号)を経て、茨城県の県境でもある「勿来」(なこそ)へ来た。

国道から勿来海岸の反対側に小高い丘があり、その一角に古来の「勿来の関」がある。

東北の三古関白河の関、念珠関=鼠ヶ関)の一つであり、因みに、念珠が関(ねずがせき)は小生が出発して2日目に通過している。
又、この古関は源義経と弁慶ら主従一行が平泉に逃避する際に通過したことで知られる。 


勿来の関」は、往年の東北の都・多賀城へ通ずる、陸前浜海道の東北(蝦夷)への入り口として重要な関所であった。 
古記には大和朝廷期にヤマトタケルが蝦夷(えみし)の蛮族を征伐するのに通った、との記載もあり、既に4世紀ごろから主要街道として機能していたという。 

平安期の後期(1051年)においては東北・陸奥の国で一大動乱(前九年の役、後三年の役)が勃発する。
朝廷はこれを治めるべく源氏の棟梁「源義家」(八幡太郎義家)を陸奥国守として任地の陸奥国に赴かせる。 

この時、源義家は「勿来の関」で休泊の時、一句詠んでいる

 『吹く風を 勿来の関と 思へども
          道も背にちる 山桜かな



平安期の頃は東北(蝦夷)の戦乱期も加わって、この浜海道は大往来時代を迎えている。 
近くには岩城(いわき湯本)の「三箱の湯」もあって、高家、武人、都人、文人墨客(万葉人)等も多く行き来していた。

太洋を望む美景の丘・「勿来の関」は、奥州三古関 と呼ばれており、古くから万葉集の中でも詠まれ、その後も多くの歌人らによって詠まれたのがこの地である。

この周辺は古来より風光明媚な地にあって、松のこずえ越しに太平洋が一望できる。
今でも山桜の名勝としても有名で、県立自然公園に指定されている景勝地である。 
そして歌枕としても名高い「勿来の関」は、古来、“やんごとなき”人々より愛され、詠まれているのである。



みるめ刈る 海人のゆきゝの 湊路に 
        勿来の関も わが据なくに
』 新勅撰和歌集 「小野小町」
《海人が往来す湊路に来ないで、などという関は設けていないのに最近あなたは逢いに来てくれないのね》

惜しめども とまりもあへず 行く春を 
        勿来の山の 関もとめなむ
』 夫木和歌集 「紀 貫之」 
《いくら惜しんでも過ぎて行く春だけど、勿来の関よどうか春を止めて欲しい》

なこそとは 誰かはいひし 云はねども
         心に据ふる 関とこそみれ
』 玉葉和歌集 「和泉式部」 
《逢いに行けないと言う恋人の返事に《来ないでなんて誰が言ったと言うの、いいえ誰も言ってはいないわ、あなたが心に関を作って私に逢いに来ないだけだわ》

吹く風を 勿来の関と 思へども    
        道も背にちる 山桜かな
』 千載和歌集 「源 義家」
《花を散らす風は「来るな」、と言う勿来の関には来ないはずだが、何と道いっぱいに山桜が散っているとは・・・》

陸奥の 信夫の里に やすらいで
      勿来の関を 越えぞわずらふ
』 新勅撰和歌集 「西行」
《誰にも言えぬ人目を忍ぶ恋に、「来るな」と言う関を越すべきか越さざるべきか迷い悩む私です》

都には 君に相坂 近ければ 
      勿来の関は とほきとを知れ
』 続千載和歌集 「源 頼朝」

次回は、茨城県・「北茨城



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